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4.242026
事業承継はいつから準備すべき?──理想のスケジュールと5つのステップ

「うちはまだ大丈夫」「引退はまだ先の話」──。そう思いながら、気がつけば体が言うことをきかなくなり、後継者への引き継ぎが間に合わなかった。そんなケースが、香川県内でも決して珍しくありません。
中小企業庁の「事業承継ガイドライン 第3版」(2022年3月)では、事業承継には平均5〜10年の準備期間が必要とされています。にもかかわらず、多くの経営者が「もう少し先でいい」と後回しにしてしまいがちです。
この記事では、事業承継を成功させるための理想的なスケジュールと、行政書士としてお伝えしたい5つの準備ステップをご紹介します。「何から始めればいいかわからない」という方にこそ、ぜひ読んでいただきたい内容です。
なぜ、事業承継は早めの準備が必要なのか?
後継者を社内で育成するには、経営の基本から人脈、取引先との関係構築まで含めると、最低でも3〜5年かかります。さらに、許認可(建設業許可・運送業許可・飲食店営業許可など)の名義変更や会社体制を整えることまで考えると、10年前から動き出してちょうどよいケースも少なくありません。
また、経営者の健康状態や取引先の状況など、外部環境が突然変わることもあります。準備が整わないまま急に後継者へ引き渡すことになると、現場が混乱し、大切な取引先や従業員が離れてしまうリスクが生じます。
「まだ早い」と思った今が、実はちょうどよいスタートのタイミングかもしれません。
(参照:中小企業庁「事業承継ガイドライン 第3版」2022年3月)
5つのステップで見る事業承継の流れ
ステップ1:現状を「見える化」する(10年前〜)
最初に取り組むべきは、自社の現状を客観的に把握することです。特に行政書士としてお勧めしているのが、許認可の棚卸しです。
建設業許可、運送業許可、飲食店営業許可などが現経営者個人の名義になっていると、後継者への引き継ぎには新たな申請が必要になることがあります。「当然引き継げる」と思っていたものが、実はできなかったというケースは少なくありません。
また、重要な取引先との契約書が古いまま更新されていなかったり、口約束で動いている取引が多かったりすることも、この段階で確認しておくべき点です。
ステップ2:後継者候補を選定し、意思確認をする(7〜10年前)
後継者の選択肢は大きく3つです。親族承継(家族への引き継ぎ)・従業員承継(幹部社員への引き継ぎ)・第三者承継(社外への譲渡やM&A)。どれが合っているかは、会社の規模・業種・財務状況によって異なります。(各方法の詳細は、本シリーズ第2回「事業承継の3つの方法」をご覧ください)
後継者候補が決まったら、本人の意思と覚悟をしっかり確認することが大切です。押しつけでは、後から「やっぱり継げない」というトラブルになりかねません。
ステップ3:後継者を育成する(5〜7年前)
後継者が決まったら、段階的に権限を移しながら育成していきます。一部門の責任者からスタートし、少しずつ全社経営を見られるよう成長を促します。経営者が長年かけて築いてきた取引先・金融機関との信頼関係を後継者に引き継ぐことも、この時期から意識的に進めてください。
なお、後継者育成に伴い従業員の雇用管理や社会保険の手続きが必要になる場合は、社会保険労務士にご相談されることをお勧めします。
ステップ4:事業承継計画をつくる(3〜5年前)
いつ・誰が・何を引き継ぐかを一覧化した事業承継計画書を作成します。スケジュールを文書化することで、関係者全員が同じ方向を向いて動けるようになります。
計画書には、許認可の引き継ぎスケジュール、事業譲渡契約書・株式譲渡契約書の作成方針、従業員・取引先への周知タイミングなどを盛り込みます。行政書士は、許認可の引き継ぎ手続きや各種契約書の起案・整備をお手伝いしています。株式の評価・税務は税理士、株式移転の登記については司法書士にご相談ください。
ステップ5:届出・手続きを完了させる(1〜3年前〜引退直前)
実際の引き継ぎが始まると、許認可の名義変更届、行政機関への変更届出、取引先・金融機関への挨拶、事業承継補助金の申請など、多くの手続きが同時に発生します。業種によっては届出の期限が定められているものもあり、期限を過ぎると営業停止や罰則の対象になる場合があります。行政書士に依頼することで、手続きの抜け漏れを防ぐことができます。
こんなケースに気をつけてください
ケースA(建設業):60代で引き継ぎを始めようとしたところ、後継者が建設業許可の「専任技術者」要件を満たしていないことが発覚。後継者が資格を取得するまで約2年、引き継ぎがほぼ止まってしまいました。早めに許可要件を確認し、資格取得を促していれば防げたケースです(個人情報保護のため匿名・一般化しています)。
ケースB(飲食業):息子さんへの引き継ぎの際、保健所への営業許可の名義変更や酒類販売業免許の切り替えが必要なことを知らず、引き継ぎ直後に一時的に営業できない状態になりかけました。事前の許認可確認の重要性を示す典型的なケースです(個人情報保護のため匿名・一般化しています)。
まとめ
- 事業承継の準備は、理想的には10年前から始めることが望ましい
- まず「許認可・契約の棚卸し」から着手するのが実務上の近道
- 後継者の選定・育成には最低でも3〜5年の時間が必要
- 事業承継計画書を作成してスケジュールを「見える化」することが重要
- 引き継ぎ直前の届出手続きは専門家(行政書士)に依頼して抜け漏れを防ぐ
次回(第5回)は「事業承継で失敗する5つのパターン──よくあるトラブルと予防策」をお届けします。
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あおば行政書士法人
代表行政書士 大林 真由子
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※ 本記事は2026年4月時点の法令・制度に基づく一般的な情報提供です。個別のケースについては、必ず専門家にご相談ください。





