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事業承継で失敗する5つのパターン──よくあるトラブルと予防策

「事業承継は早くから取り組んでいたつもりなのに、なぜか思い通りに進まなかった」──そんな声を経営者の方からよく耳にします。

事業承継(じぎょうしょうけい:経営者が引退し、事業を次の人に引き継ぐこと)は、会社の未来を左右する大切なプロセスです。しかし、実際には準備不足や見落としによって、スムーズに進まないケースが少なくありません。

この記事では、行政書士の視点から「事業承継でよくある失敗パターン5つ」と、それぞれの予防策をご紹介します。これから承継を考えている方も、すでに準備中の方も、ぜひ一度ご確認ください。

失敗パターン① 準備を始めるのが遅すぎた

事業承継で最もよく聞かれる失敗の原因が「準備の遅れ」です。

中小企業庁「事業承継ガイドライン(第3版)」(2022年3月)によると、円滑な事業承継のためには5年〜10年前からの計画的な準備が望ましいとされています。しかし「まだ先の話」と先延ばしにしているうちに、経営者の健康状態が変わったり、取引先との関係が変化したりするケースがあります。

事業承継は、「後継者を決める」だけではありません。許認可の引継ぎ、取引先への挨拶回り、社内体制の整備、各種契約書の見直しなど、多くの準備が必要です。時間的な余裕がなければ、こうした手続きが後手に回ってしまいます。

予防策: 「70歳になったら考えよう」ではなく、今の時点でロードマップを描いておきましょう。まず「いつまでに誰に引き継ぐか」という大まかな目標を設定することが、すべての出発点になります。

失敗パターン② 後継者との対話が足りなかった

「息子が継ぐのは当然だと思っていたが、実は乗り気ではなかった」──こうしたケースも珍しくありません。

後継者候補の方が十分な説明を受けないまま、ある日突然「あとはよろしく」となると、引き継ぐ側も戸惑います。財務状況、主要取引先との関係、従業員の状況、経営上の課題──これらを丁寧に共有しておくことが大切です。

また、承継を受ける側の「やりたいこと」「不安なこと」を早めに聞き出すことで、必要な準備を先手で整えることができます。経営者側からの一方的な意向の押しつけではなく、対話の中で承継の方針を育てていくことが理想的です。

予防策: 後継者候補との対話は、早ければ早いほど良いです。年に一度でも、事業の現状と将来の方向性について話し合う機会を設けることをお勧めします。

失敗パターン③ 許認可の引継ぎを見落とした

事業承継において、行政書士として特に注意をお伝えするのが「許認可(きょかにんか)の引継ぎ」です。

許認可とは、建設業許可・飲食店営業許可・運送業許可など、事業を営むために行政機関から受けている許可・認可のことです。これらの許認可は、経営者が変わったり、個人事業から法人へ切り替わったりした場合に、そのまま引き継がれないケースがあります。

たとえば建設業の場合、個人事業主として取得した許可は後継者個人に自動的には引き継げません(建設業法第3条に基づき、個人→法人の場合は新規申請が必要です)。飲食店の営業許可(食品衛生法第52条)についても、名義変更や新規申請が必要になる場合があります。

許認可の確認・手続きを忘れたまま営業を続けてしまうと、法令違反となるリスクがあります。

予防策: 現在の事業で取得している許認可の一覧を早めに整理し、承継にあたって必要な手続きを確認しましょう。行政書士への相談を通じて、許認可の引継ぎに必要な手続きを漏れなく把握することができます。

失敗パターン④ 従業員・取引先への説明が後手に回った

事業承継を社内に周知するタイミングが遅れると、従業員が不安を抱いて離職してしまうケースがあります。「社長が会社を売るらしい」「自分たちはどうなるのか」という情報の空白が生まれると、職場の雰囲気が悪化することもあります。

また、主要取引先への挨拶が遅れると、「突然見知らぬ人から連絡が来た」と感じさせてしまい、長年築いてきた信頼関係にひびが入ることもあります。

特に親族内承継(身内への引き継ぎ)や従業員承継の場合は、早い段階から周囲の協力を得ることが、承継後の経営安定にもつながります。

予防策: 従業員・取引先への説明は、承継の合意ができた段階で、適切なタイミングに丁寧に行いましょう。伝える順序(幹部社員→一般社員→主要取引先)と、伝える内容(新体制のビジョン、引継ぎスケジュール)を事前に整理しておくことが大切です。

失敗パターン⑤ 専門家への相談が遅れた

「自分たちだけで何とかなると思っていた」「どこに相談すればいいかわからなかった」──こうした理由で専門家への相談が遅れてしまうケースも多くあります。

事業承継には、行政書士(許認可手続き・契約書作成・補助金申請)、税理士(税務・事業承継税制の活用)、司法書士(法人登記・役員変更)、社会保険労務士(雇用・社会保険手続き)など、複数の専門家の知見が必要です。自分だけですべてを把握しようとすると、見落としや誤った手続きにつながるリスクがあります。

また、「事業承継補助金」などの公的支援制度には申請期限があり、準備が間に合わなければ活用できません。(参考:中小企業庁「事業承継補助金」の詳細は中小企業庁の公式サイトをご確認ください)

予防策: 「まだ早い」と思っていても、まず一度、専門家に現状を相談してみてください。初回相談の段階で大まかな方向性と必要な手続きの全体像を把握するだけで、その後の準備がぐっとスムーズになります。

まとめ

事業承継でよくある失敗パターン5つを振り返りました。

  • 準備の遅れ: 5〜10年前からの計画が理想。今すぐロードマップを描くことが第一歩
  • 後継者との対話不足: 早期から本音で話し合う機会を定期的に設ける
  • 許認可の見落とし: 承継前に許認可の一覧整理と必要手続きの確認が必須
  • 従業員・取引先への説明の遅れ: 丁寧なタイミングと順序で周知を
  • 専門家への相談の遅れ: 早めに相談して全体像を把握し、漏れを防ぐ

 


あおば行政書士法人
代表行政書士 大林 真由子

事業承継のこと、まずは気軽にご相談ください。

あおば行政書士法人では、香川県を中心に事業承継にまつわる許認可の引継ぎ、契約書の作成、補助金申請のサポートを行っています。「何から始めればいいかわからない」という段階からお手伝いいたします。

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※ 本記事は2026年4月時点の法令・制度に基づく一般的な情報提供です。
個別のケースについては、必ず専門家にご相談ください。

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