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5.112026
香川県の事業承継の現状──データで見る四国・中小企業の課題と備え方

「香川で長く商売を続けてきたけれど、そろそろ次のことを考えないといけない」「うちの規模で事業承継(じぎょうしょうけい:事業を次の人に引き渡すこと)なんて、本当に関係あるのだろうか」──そう感じておられる経営者の方は、決して少数派ではありません。
この記事では、香川県と四国の事業承継について、公的データや調査結果をもとに「いま何が起きているのか」を整理します。さらに、行政書士の視点から、明日からでも始められる準備の第一歩をご紹介します。最後までお読みいただくと、ご自身の状況を客観的に見つめ直すヒントが得られるはずです。
1.四国の社長は「全国でも高齢層」──まず数字で見る現状
四国地区における社長の平均年齢は、2024年時点で 60.9歳 と報告されています(引用元:株式会社帝国データバンク「四国地区 社長年齢分析(2024年)」2025年4月18日公表)。全国平均と比較しても四国は高い水準にあり、四国の経営者の高齢化は、もはや「いずれ起きること」ではなく、すでに進行している現実です。
香川県内に目を移すと、2024年に代表者の交代があった企業は546社にのぼり、県内の調査対象15,631社の約3.4%にあたります。交代前の代表者の平均年齢は 71.9歳、交代後は 54.4歳 と、世代交代によって17.5歳の若返りが進んだことが示されています(引用元:ビジネス香川「代表交代546社 平均年齢17.4歳若返る 2024年香川県『代表者交代』調査」)。
ここから読み取れるのは、二つの事実です。
ひとつは、すでに「動いている」経営者がいるということ。もうひとつは、3.4%という数字の裏側に、まだ動いていない、あるいは動けていない大多数の経営者がいるということです。
2.「後継者がいない」は香川だけの問題ではない──全国と地元のデータ
全国規模で見ると、企業の後継者不在率は 50.1%(2025年)でした。前年から2.0ポイント低下し、7年連続で改善傾向にあります(引用元:株式会社帝国データバンク「全国『後継者不在率』動向調査(2025年)」2025年11月21日公表)。
それでも、いまなお国内企業の半数が「次に事業を任せる人」を決められていないという数字です。改善傾向にはあるものの、地方ほど人口減少と若年層の流出が重なり、楽観できる状況ではありません。
香川県では、こうした課題に対応するために 香川県事業承継・引継ぎ支援センター が設置されています。同センタの令和6年度実績では、譲渡希望(売り手)121仺、譲受希望(買い手)104仺、後継者バンク登録46件、引継ぎ完了77件と報告されており、これまでの累計引継ぎ完了件数は390件に達しています(引用元:香川県事業承継・引継ぎ支援センター https://kagawa-hikitsugi.go.jp/ )。
このセンターは、中小企業庁の補助のもと、各都道府県の商工会議所等に設置されている公的な相談窓口です。相談料は無料で、譲渡したい側・譲受けたい側の双方の登録を受け付けています。「親族にも従業員にも継ぎ手がいない」という段階でも、まずは相談から始められる窓口がある、ということは、ぜひ知っておいていただきたい点です。
3.香川の経営者が「明日からできる準備」3つ──行政書士の視点
ここからは、地元・香川県で行政書士として日々経営者の方とお話ししている立場から、「データを知ったうえで、明日からできること」を3つお伝えします。
(1)自社の許認可と契約関係を棚卸しする
事業を引き継ぐ際、まず確認すべきは「いま自社が持っている許認可(きょにんか:事業を行うために行政から受けている許可・認可)」と「主要取引先との契約」です。建設業許可・運送業許可・飲食店営業許可など、業種により承継のしやすさが異なります。許可によっては、承継のたびに新規取得し直す必要があるものもあれば、所定の手続きで引継ぎが認められるものもあります。
詳しい手続きについては、本ブログの後続回(記事07・08)で取り上げる予定です。まずは「どんな許可を持っているか」「いつ更新か」を一覧にしてみてください。
(2)自社の「数字」を整理しておく
譲渡・承継を検討する場面では、直近3〜5年分の決算書や事業計画が必要になります。税務申告そのものは税理士の業務領域ですので、顧問税理士の業とご相談のうえで、資料の整理を進めてください。行政書士は、契約書面や許認可関係の書類整備の面からお手伝いができます。
(3)「相談先のリスト」を持っておく
事業承継は、行政書士・税理士・司法書士・社会保険労務士・弁護士・金融機関・商工団体など、複数の専門家がそれぞれの領域で関わります。自社にとってどの専門家が必要になるかを、早めにリスト化しておくと、いざ動き始めたときに迷いません。
想定Q&A
Q:「うちは小さい個人事業だから、事業承継なんて大げさな話では?」
A:個人事業であっても、お客様や仕入先、許認可、屋号、ノウハウは大切な「事業資産」です。事業承継は規模の問題ではなく、続けるか・終えるか・誰に引き渡すかの選択を、ご自身が元気なうちに整理しておくこと、と捉えていただくのがよいと考えます。個人事業主の事業承継については、後の回(記事09)で詳しく取り上げる予定です。
まとめ
- 四国の社長の平均年齢は60.9歳(2024年)と高齢化が進行している
- 全国の後継者不在率は50.1%(2025年)と改善傾向にあるが、依然として半数の企業が課題を抱えている
- 香川県では令和6年度に77件の引継ぎが完了し、累計390件の実績がある
- 香川県事業承継・引継ぎ支援センターは無料で利用できる公的窓口
- 「許認可の棚卸し」「数字の整理」「相談先リスト」は、今日からでも始められる準備
次回(5月18日公開予定)は、「事業承継で必要な届出・手続き一覧──行政書士が解説」をお届けします。実際に承継の場面で必要となる届出書類を整理してご紹介します。
あおば行政書士法人 代表行政書士 大林 真由子
事業承継のこと、まずは気軽にご相談ください。
あおば行政書士法人では、香川県を中心に事業承継にまつわる 許認可の引継ぎ、契約書の作成、補助金申請のサポートを行っています。 「何から始めればいいかわからない」という段階からお手伝いいたします。
📞 お電話でのご相談:0877-85-3890 📧 メールでのご相談:info@aobagyousei.com 🌐 お問い合わせフォーム:https://lin.ee/5rOiAvV
初回相談は無料です。オンラインでの対応も可能です。
※ 本記事は2026年4月時点の公表データ・法令・制度に基づく一般的な情報提供です。個別のケースについては、必ず専門家にご相談ください。
引用元一覧
- 株式会社帝国データバンク「全国『後継者不在率』動向調査(2025年)」2025年11月21日公表 https://www.tdb.co.jp/report/economic/20251121-successor25y/
- 株式会社帝国データバンク「四国地区 社長年齢分析(2024年)」2025年4月18日公表
- ビジネス香川「代表交代546社 平均年齢17.4歳若返る 2024年香川県『代表者交代』調査」 https://www.bk-web.jp/post.php?id=3348
- 香川県事業承継・引継ぎ支援センター https://kagawa-hikitsugi.go.jp/
- 中小企業庁「2025年版 中小企業白書」第1部第1章第9節 事業承継






